盗難防止のイモビライザーとは?

「鍵がイモビだから合鍵が簡単に作れないんだよね」なんてセリフは聞いたことありませんか? 一瞬「芋?」などと聞き返したくなったのは私だけでしょうか。イモビとは、イモビライザーを略して会話に出てきたりします。盗難防止に一役買っている、イモビライザーとはどんなものでしょうか。普通の鍵とはどのように違うのでしょうか。

 

イモビライザーとは

通常の車のキーとは、エンジンスターターのキー差込口にさして回すとエンジンがかかりました。鍵は合鍵を作ることも出来て、無くした場合などに備えることもできました。が、容易にエンジンスタートできるシステムのために、盗難しやすいという欠点がありました。

この盗難防止を受けて開発されたのがイモビライザーです。キー側の電子チップのIDコードと、車本体のIDコードを照合一致してエンジンを始動できる電子キーシステムになります。合鍵を作ろうとしても電子チップのIDコードがなければ、鍵穴に差してもコードが一致せずエンジンは始動することができません。キーのトランスボンダと車両側のIDが全て認証しなければならないので、ざっくりマネをして合鍵を作ることもできません。このため、自動車盗難防止システムとして非常に有効だといわれています。

 

鍵は大切に

鍵を無くしてしまった時用に合鍵を作っておこう、といっても通常の鍵屋さんでは複製を作ることができません。まず鍵は絶対に無くさないこと、購入時についているスペアも大切に保管することが必要不可欠です。イモビライザーキーの合鍵を作ろうとすると、見た目を削るだけではないので直ぐには出来上がらないですし、金額も一般的な鍵より格段に高いのです。

イモビライザーキーが標準仕様であることも多くなっています。「この鍵はどちらかな?」と思う場合は、ディーラーに確認しておきましょう。

 

イモビライザーだけでは盗難防止100%ではない

車の任意保険などでは、イモビライザーシステムの場合は保険料割引などがあったりしましたが、実はイモビライザーは100%の盗難防止ではありません。

エンジンを始動しなくても盗難出来る方法、例えば車上荒らしなどの窓ガラスを割ったりして車内の盗難をする場合などには無効でしょう。こちらは見えるところに荷物などを置かないなどの盗難防止が必要です。また、レッカー車などで丸ごと持っていく大胆な盗難などにも無効です。車の一部には、整備用のコネクタを使用するとコードをリセットしたり別のコードで照合できたりすると言われているので「イモビライザーだから盗難はされない」という油断は厳禁だといえます。

 

15/6/25 71【自動ブレーキ追突軽減ブレーキとは?】

最近よく車のCMで見かける、衝突する前に止まる車。一昔前なら考えられなかった近未来的な装置が、今や研究段階ではなく実際の車に搭載されるようになりました。

前方の車がブレーキを踏んだのが分からずに突っ込みそうになって冷や汗をかいたり、信号や踏切待ちでブレーキを踏んでいるはずが緩んでいて前に進んでしまっていたとか、冷や汗をかいた方や本当にぶつかってしまった方もいらっしゃるでしょう。人間はどんなに注意深くあっても完璧ではない故に、こういったシステムを待っていたように思います。EUでは2013年から全ての新型商用車にシステム搭載を義務化しました。日本でも大型車両義務化に向けて動いています。

さて、自動ブレーキ追突軽減ブレーキとはどのようなものでしょうか。意外とCMなどの映像しか知らない方も多いでしょう。

 

自動ブレーキとは?

自動ブレーキとは、車が走行している時に、前にある障害物にぶつかるとシステムが判断した時にかかるブレーキのことです。この自動ブレーキというのは、前にある障害物を色々な方法で検知して作動します。「これがあれば絶対に衝突はしない」というものではなく、『衝突時の被害を軽減するシステム』の一つなのです。「衝突被害軽減ブレーキ」「自動緊急ブレーキ」とも呼ばれています。

検知方法は色々ありますが、カメラやミリ波レーダーや近赤外線レーザーなどがあります。どれも有効な方法である一方で、状況により何かに影響を受けて検知しないということもあり、完璧とはいかないのが現実です。

 

実際の自動ブレーキ追突軽減ブレーキ導入具合は?

自動ブレーキの歴史は欧州の方が進んでいて、日本は本格的な導入は本当に最近のことです。実際にはトヨタ・ハリアーが初搭載したものの、積極的な自動ブレーキとはいえずブレーキアシストという早期作動でした。ホンダのインスパイア2003年から2005年モデルが本格搭載し、仕様にも先進装備として『追突軽減ブレーキ(CMS)+E-プリテンショナー』が明記されています。E-プリテンショナーというのは、追突のおそれがあるとシステムが判断すると運転席のシートベルトを弱く数度引くなどの体感警告をします。追突回避困難とシステムが判断すると、シートベルトを強く引き追突に備えてくれるものです。

そもそもは名前の通り追突を軽減するためのブレーキで、システムへの過信を防ぐためにも前もっての停止は行われませんでした。が、2010年発売のスバル・レガシィに搭載した『アイサイト』で速度差30km/h以内なら衝突回避というプリクラッシュブレーキが実際に道路を走ることになったのです。ここから多メーカーにわたる車に搭載されたと同時に、日本では自動ブレーキというと前もって止まってくれるという認識が高まったようです。

 

自動ブレーキは本当に止まるのか

CMなどでも壁を前にしてブレーキがかかるという車を目にしたことがあると思います。自分がブレーキを踏まなくてもブレーキがかかるという、魔法のようなシステム。本当に止まるのかな?と試乗してみた方もいらっしゃるでしょう。「追突する!」と思った瞬間怖いのですが、本当に止まるとホッとします。

ところが、自動ブレーキは本当は「追突軽減ブレーキ」なのだという認識に引き戻した事例がありました。某メーカーの試乗会での自動ブレーキ体験で、止まらずに車は突っ込んでしまったのです。もちろん安全性を考えて堅い壁などではなくスポンジ状だったようですが「自動ブレーキがあるから大丈夫」と近未来的に浮かれてはいられないのだという引き戻しを感じました。この事故が2013年ですから、あくまで判断するのはシステムで、検知するものは機械、気象状況や明暗、対象物の材質など色々な状況に左右されるものなのだということを肝に銘じておきましょう。

 

人間の反応は遅いからサポートを

自動ブレーキが万能ではないとしても、人間の反応はそれより遥かに認識が遅いものです。耳や目などで感知したところから、脳に信号が送られ、認識されてから手足に「動け」と指令が出るまでとても時間がかかるといえます。自動ブレーキはこの人間の反応の遅さからくるブレーキの踏み遅れをサポートして、追突時に少しでも軽減しようという目的が本来なのです。やはり、自動ブレーキは過信せずに搭載しておきたいシステムの一つでしょう。